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チェンマイで最初に建てられたワットチェンマン寺
チェンマイで最初に建てられたワットチェンマン寺
お供えのジャスミンの花輪.
お供えのジャスミンの花輪.
バンコクワットポーの涅槃像
バンコクワットポーの涅槃像
夏休みには少年たちが出家する
夏休みには少年たちが出家する
魚を逃してやる
身近なタンブン 魚を逃してやる
タイには、「タンブン」という言葉がある。
「徳を積む」という意味だが、人口の9割以上が仏教徒といわれるタイでは、この行為が生活の中で重要な位置を占めている。それというのも、タイ人は輪廻転生を信じていて、現世で徳を積めば積むほど、来世でより良い生活が送れると考えているからだ。

タンブンは、生活のいたるところでみることができる。その一つが托鉢だ。まだ夜が明けぬ頃、オレンジ色の袈裟をまとった僧たちが托鉢にやって来る。道路には僧たちに食べ物を喜捨しようと、たくさんの人が待ちかまえている。そして目の前に僧が来ると、裸足になり、鉢の中へ静かに食べ物とお花を入れ、合掌する。
自分の誕生日や大きな仏教行事の日だけ喜捨する人もいるが、毎朝ごはんを作って鉢にいれている人も少なくない。

僧侶に喜捨することもタンブンだが、お寺を修繕・建設するための費用を寄付するのもタンブンだ。定期的にお寺へ行く人もいるが、仏教の大切な日(万仏節、仏誕節、三宝節)やお正月などは、大勢の人が集まり、お金や食べ物などを寄付していく。

最も大きいタンブンは、僧侶として出家するか、息子を出家させることだ。そうすることによって、両親が天国へ行かれると考えられている。今でこそ人数は減っているが、それでも成人男性が就職する前や仕事を休んで短期出家することは珍しくない。特に雨季の期間(7月頃〜10月頃)には出家する男性が増え、街に鮮やかなオレンジ色の袈裟が多く揺らめく。

また、タイ北部(*)にはこんな言い伝えがある。「自分の干支のお寺を一生に一度でも訪れたら、大きな徳を積むことができる」と。例えば、辰年だったらチェンマイのワット・プラシン寺、酉年だったらランプーン県のハリプンチャイ寺……というように、北部各地には、それぞれの干支を祭ったお寺がある。

もっと身近なところにも、タンブンできることはたくさんある。困っている人に手を差し伸べたり、小鳥や魚を逃がしてやったりすることなどがそうだ。
こう考えると、タイ人は朝起きてから寝るまでずっとタンブンをしている気がしてくる。もっとも、生まれてからそういう環境で育っているせいか、「タンブンのため」と意図的にしているのではなく、無意識のうちに人や動植物に対して親切にしている印象を受ける。だからだろうか、タイに来て暖かさを感じるのは。

タンブン、タンブン、またタンブン。現世でも来世でも積んで損はない。

*タイ北部はもともとランナータイ王国として栄えたところで、文化や慣習が中部タイ(バンコク周辺)のそれとは変わってくる。


 
Written & Photographed By Mari Okamoto
  海外特集 (毎月1日・16日更新)
  vol.006 タイのタンブン生活
  取材地 タイ・チェンマイ
  記事執筆・取材・撮影 岡本 麻里
  2005. 6. 16 掲載
 
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