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活気あふれるチャイナタウン

フレッシュすぎる、チキンたち…

チャイナタウン近くにあるヒンドゥー寺院

スカーフ、ドレスともに色彩かな装い

左がKLタワー、右はツインタワー

ビルと緑が併存するクアラルンプールの街並み
 
「バクテー!バクテー!」屋台のおじさんが大声で呼びかける。こちらもジェスチャーつきで人数を叫ぶと、「カモン!」と席に案内。プラスチック製の椅子に腰かけ、ベニヤ板のような薄い木のテーブルで、料理を待つ。

見渡せば、迫力あるクッキングライブが、そこら中で繰り広げられている。白い煙が立ちのぼるアツアツのフライパンで、ガーリックを香ばしく効かせ、青菜を炒めるおばさん。飴色にパリッと焼き上げたダックを、丁寧に切り分けるおじさん。15センチ以上もの厚さがある丸型の木製まな板で、ひたすらショウガをスライスしているおばさんもいる。
そんな姿に見惚れながらビールを片手にひじをつくと、テーブルがぐらりと傾いた。アブナイアブナイ。屋台の設備に、安定やら、センスやら、そんなものを求めてはいけない。

ここは中華系の屋台だ。マレーシアには、マレー系、中華系、インド系とおもに3つの民族が暮らしていて、屋台文化もバラエティに富んでいる。ココナッツミルクで炊いたライスがバナナの葉に包まれているマレー系屋台や、窯焼きナンやスパイス豊かに炙られたタンドリーチキンが並ぶインド系屋台。また、観光名所のKLタワーを眺めながら、じっくり煮込んだカレー風味のスープに、手作りパンを浸して食べる屋台などもある。衛生や治安は自己管理するにしても、およそ500円以下で満足できる屋台は、魅力あふれる場所なのだ。

待つこと10分。土鍋でグツグツ煮混んだ「バクテー」が運ばれてきた。この独特な香りを漂わせるバクテー。バラからレバーまで色んな部位の豚肉をブツ切りにし、数種の漢方薬を加えた汁で煮たもので、マレーシアの人気料理だ。醤油風味のあっさりした味で、ライスにバシャバシャと汁をかけたり、チリを混ぜてピリ辛にしたりと、好きなように食べる。ちなみにこのバクテー。豚肉が素材なので、マレーシアの人口の約60%を占めるイスラム教の人は、宗教上の理由で絶対に食べない。中華系の屋台だけで出合える美味だ。

隣りのテーブルの話し声、料理を指さして値段をたずねる声、屋台のおじさんの呼び込みの声。そんな喧騒に身をゆだね、地元の人と同じ目線で、食を楽しむ。すると、ここで暮らしている人々の息づかいが聞こえてくる。それは、恋しい家族や親しい友人から聞こえてくるのと同じ息づかい。世界中の誰にとっても大切で、貴重な、日常に流れる息づかいなのだ。異国の土地で故郷を肌で感じる空間。屋台とはそんな場所だ。
 
  海外特集 (毎月1日・16日更新)
  vol.013 屋台で感じる、故郷の風
  取材地 マレーシア・クアラルンプール
  記事執筆・取材・撮影 由木 音
  2005. 10. 1 掲載
 
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