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「アッサラーム、アレイコム」この言葉ほど便利な言葉は他にあるのだろうかと思うくらい、ここエジプトやイスラム圏の国ではよく耳にする言葉である。日本語で言うこんにちは、こんばんは、さようなら、もしもし等の挨拶言葉が全てこの言葉に集約されているのだ。

エジプト人はちょっとお節介なほど話好きで世話焼きだが、とても人懐っこい人々の集まりである。
地下鉄に乗っている時、座席に座っている人は立っている人に「かばんを持ってあげよう」と声をかける。買い物をしている時「ここは高いよ、よそで買ったほうがいいよ」と言ってくれる。どんな時でも見知らぬ人同士で会話が始まってしまう場面をここではよく見かけることができる。
時には、喧嘩をしているの?と思うくらい激しい口調で口論している人々が、最後には笑いながら「アッサラーム、アレイコム」と言って別れることもしばしば。(ちなみに、アラビア語はどんな挨拶言葉でも返し言葉が違うため「アッサラームアレイコム」と言われた人は「アレイコムアッサラーム」と返すのが基本。)

もう1つお教えしたい言葉が「アシャンカトゥリー」(私の為にお願いします)。これもよく使う言葉の1つである。
例えば買い物をしていて、もう少し値切りたい時に「アシャンカトゥリー」と言うと、大抵のお店の人は笑って少し負けてくれる。私も主人の実家へ行くとよくこの言葉を言われて、義理母の作った手料理をたくさん食べるように勧められる。この言葉を言われて何もしない人はほとんどいない。頼む側としては「この私がこれだけ頼んでいるのだから、何とかしてちょうだい」という感覚なのだろうか。
人と人との触れ合いの大切さを重んじることが、ここでも直に伝わってくるようである。
さらに、エジプト人は人が困っている時に見て見ぬふりが出来ない人々でもある。それは外国人に対しても同様だ。
イスラム教の教えの中に「旅人には、あなたにとって出来る限りのもてなしで接しなさい」という教えがある。一昔前には現在のような輸送機関がなかったため、人々は馬やラクダに乗って、又は歩いて、何十キロ、何百キロの過酷な砂漠を旅していた。
今の旅は昔の旅ほどに過酷ではないが、そういう旅人に対しての敬意の現れが現在もなお受け継がれて、観光客への親切心へとつながっているのだろう。

公用語はアラビア語だが、街のあちこちで見かける英語併記は日本よりもはるかに進んでいるようだ。そして、話し好き、世話焼きのエジプシャンに道を尋ねようものなら、例え自分が知らなくてもその道を知っている人を探してくれる。もしかしたら探している場所まで連れて行ってくれるかもしれない。
この国は、昔日本にあったような情景が、今も変わらず残っている場所なのではないだろうか。
  海外特集 (毎月1日・16日更新)
  vol.036 エジプト人と魔法の言葉
  取材地 エジプト・カイロ
  記事執筆・取材・撮影 和田 暁子
  2006. 9. 16 掲載
 
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