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ストリートにはブラックヒーローの名が記されている

アポロシアターも改装が終了してきれいになった
ハーレム125丁目を走る観光バス
フェアでは自作カレンダーを売るグループも

ストリートフェアで迫力満点のパフォーマンスを披露

子供のヘアーもこのとおり

お手軽なベジタリアンソウルフード

ブラックの誇りを忘れない
「ハーレムって、危なくないんですか?」
繰り返される質問にも慣れてしまったという友人、堂本かおるは、ハーレム在住暦8年のライター。ハーレムをわかりやすく解説してくれるウォーキングツアーガイドでもある。私も幾度となくかの地を訪れ、彼女のツアーにも参加し、ハーレムとブラックカルチャーの一端にふれてみた。しかし彼らの歩んできた怒涛の歴史とその心の叫びを理解するまでにはまだまだ至らない。

夏もたけなわのある日曜日、「ハーレムウィーク」に誘われた。これは1974年にスタートした歴史あるビッグイベントである。アポロシアターやレノックスラウンジで有名なハーレムの目抜き通りといえば125丁目だが、今回のストリートフェアはそこから10ブロック北の135丁目。通りの中心には黒人文化センターがあり、黒人の歴史、文化、伝承などに関する様々な資料を取り揃えている。

東西に延びた通り一帯には、YMCAなどの非営利団体のブースや民芸品、アクセサリー、フードコーナーといった露店が軒を並べるほか、ゴスペルやジャズ、ヒップホップのパフォーマンスあり、バスケットの模擬プレーあり、昔を偲ぶクラッシックカーの展示会ありと、まさに大人も子供も楽しめるハーレム最大のお祭りといった雰囲気を味わった。

ハーレムは、黒人の街としてその名を知らしめてきた。もとは17世紀のオランダ人の入植から始まり、ドイツ人、ユダヤ人なども居住していた影響で、今現在もヨーロッパの歴史的建造物が数多く残っている。とりわけ教会の数ではマンハッタンのどの地区をも圧倒している。

やがて白人のハーレム離れが進み、代わって第一次大戦頃から黒人が台頭してきた。「ハーレムルネッサンス」と呼ばれる独自の文化を形成するのもこの頃である。そして世界大恐慌による失業。活気のある時代は終焉し、その後のヴェトナム戦争への徴兵と帰還。戻ってきても仕事がない。公民権運動で差別廃止法を勝ち取ったもののハーレムは次第に荒み、貧困、危険地帯と言われる苦渋の時代を迎えることになる。

しかし時が経つにつれ再開発が進み、ラテン、カリビアンなどの他民族も目立ってきた。最近では白人の居住者も増え、活性化された新しいエリアとして注目をあびている。139丁目あたりは昔ながらのタウンハウスが並ぶ居住区であるが、建物は年数が経つごとに付加価値を伴い、リノベーション後は億ション単位の物件として売られているそうだ。

確かに、今のハーレムは数十年前に見た落書きだらけの貧しいイメージはない。もちろんゲットーと呼ばれる貧困地区がいまだに存在することも事実ではあるが、目抜き通りに次々登場するお洒落なスパやネイルサロン、ブティック、カフェなどは、ハーレムの未来図を垣間見せてくれる。時代の先端をいくファッションに身をつつみ、ヒールで颯爽と歩くモデルのような黒人女性。ツアーバスからものめずらしそうに見ていく白人観光客も、やがては住人にまざって買い物や食事、お茶を楽しむようになるのだろう。そう、ハーレムは変遷の途上にあるのだ。

一方で今日見てきた、イベントの中に見え隠れする、彼らの永遠の主張「黒人は美しい」「黒人であることは誇りである」「永久に黒人として生きていく」といった決意は、ストリートに名を残す著名人と相まって、彼らの胸の中に生き続け、次世代へと継承されていく。どんなにハーレムが変遷しても、彼らの祖先や黒人の歴史、黒人の権利のために戦ったヒーローの功績、そして黒人であることの誇りを生涯忘れることはないのだろう。

【 参考サイト 】
ハーレムウォーキングツアー
http://www.harlemjp.com/

ハーレムウィーク(英語サイト)
http://harlemweek.harlemdiscover.com/
  海外特集 (毎月1日・16日更新)
  vol.061 変遷するハーレム・受け継がれる人々の誇り
  取材地 アメリカ・ニューヨーク
  記事執筆・取材・撮影 青木 多佳子
  2007. 10. 1 掲載
 
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