
リマット川のほとりに佇む聖母教会
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緑青黄のステンドグラスが迎えてくれる
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聖母教会では最後の仕事だったバラ窓
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キリストの姿は聖歌隊席の外からも見られる
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ドイツにある聖シュテファン教会のステンドグラス
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聖母教会を出ると正面には大聖堂の双子の塔
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突如、脇に置かれたオルガンが盛大な音楽を奏で始めた。弾いている者はいないのにだ。驚いてぐるりと見回すと、後方の壁一面に重々しく並ぶ立派なパイプオルガンが目にはいる。
どうやら奏者はあちらにいて、この小さなオルガンと連動しているようだ。その証拠に、ある時はこちらから、ある時はあちらからという具合に音が切り替わっている。
空気をふるわせ教会を満たすオルガンの音色。その音は正面に収められた色彩豊かなステンドグラスに跳ね返り、そこに居合わせた者の魂をもふるわすようだ。
湖からそそぎ出で、チューリヒの古い街並みの中を静かに流れるリマット川。川沿いにはひしめくように家が軒を連ね、重なり合うように奥へとのびていく。そして、その間を石畳が縫う。
いくつも架かる橋から湖を臨むと、その彼方にはアルプスの山々が堂々とした美しさで控えている。
そのリマット川沿いの建物群の中、緑色の塔を針のようにつんと伸ばして立つ聖母教会(フラウエンミュンスター)がある。この教会には、画家マルク・シャガールが手掛けたステンドグラスがあることで有名だ。
教会内の前方、区切られた聖歌隊席にそれはある。赤と青の星が散りばめられた天井の下、平和を象徴する緑の「キリストの窓」を中心に、計5枚の色鮮やかな窓がはめ込まれている。これらは1970年、シャガール83歳の時の作品で、彼独特の色彩感覚がガラスの上でも失われず、流れるように溶け合う色の濃淡が印象的だ。
正面右の黄色のステンドグラスは「シオンの窓」。この窓の上、太陽のようにも見える丸の中に顔が描かれている。これはシャガール本人の顔だそうだ。
そして8年後の1978年、聖母教会での彼の仕事はバラ窓と呼ばれる円形の窓で締めくくられる。これは聖歌隊席に入る手前に見ることができる。
ところで、シャガールのステンドグラスに出会えるのはチューリヒばかりではない。ヨーロッパには他にもドイツ、フランス、イギリスとある。そのうち、マインツ(ドイツ)にある聖シュテファン教会のものは、シャガールが91歳の時に取り掛かり、98歳で亡くなるまで続けられた晩年の作品だ。総面積1776平方メートルにもなるというそのガラス窓は、教会の壁を青一色に飾っている。足を踏み入れた瞬間、シャガールの青い光の海が優しく包み込んでくれる。
ステンドグラスは美術館に整然と並べられた絵画とは異なる。光を導き入れ、教会という祈りの場に生きている。ステンドグラスを求めて旅に出よう、そんな気持ちにさせられるのは、きっと私ひとりだけではないだろう。
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